宮崎駿監督の10年ぶりとなる長編アニメーション映画「君たちはどう生きるか」を鑑賞しました。今回の作品は、公開前のプロモーションやメディア関係者への試写会が一切なく、正真正銘「なぞ」に包まれた前代未聞のジブリ映画です。以下、「ネタバレなし」の所感です。
映画を見終えたら「楽しかったね!」「面白かったね!」「あのシーンで泣けた!」とかいろいろな反応があると思いますが、なんだろう…隣の人と顔を見合わせて静止してしまう感じ。そして、苦笑。「一体、何を見せられているんだ?」と不可解なシーンもありました。とにかく、咀嚼する間もなく口の中にさまざまな食べ物を詰め込まれるような感覚で、必死に喉を通そうとしている矢先に「お口に合いましたでしょうか。本日のコースは以上です。」と食器を片づけられるようなイメージです(笑)これは批判的な意味合いではなく、むしろ「もう一度見たい」との衝動が押し寄せてきます。そう、何度も見ないと本質をつかめない内容なのです。当の本人である宮崎駿監督が「私自身、訳が分からないところがありました」と仰っているのですから、自分の反応も然るべきものだったのだと納得すると同時に安堵しました(笑)
おそらく私を含め、多くの人たちはもう一度『天空の城ラピュタ』のようにわかりやすく万人受けする冒険ファンタジーを描いてほしいと願っていたと思います。もしくは『千と千尋の神隠し』のように唯一無二の創造性を生かした壮大な脚本を手掛けてほしいと思っていたかもしれません。しかし、あえてその路線から逸脱した今回の作品は「本当に作りたかったもの」だとして受け止めました。ただ、今までのジブリ映画と一線を画していたとも言い難く、「すべてが内包されていた集大成」ととらえることもできるからまた不思議です。鑑賞後は安直な感想に終始せず、「ここの仕草が○○とつながっているんだよね?」「あの場面は~という理解でよかったのかな?」と議論になりました。
「『君たちはどう生きるか』は見終えたその瞬間からまた始まる」
「君たちはどう生きるか」とのメッセージに対して、「私たちはこう生きる」との解を出すまでにはまだまだ時間が必要です。大きな宿題をいただきました。
※アイコン写真は生後7ヵ月の私です。この頃は何を思い生きていたのか?笑
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