令和5年度、市町村議会議員研修「1年目議員のために」に参加しました。滋賀県は唐崎にある全国市町村国際文化研修所(JIAM)を会場に、北海道から沖縄まで総勢116名の1年生議員が集いました。下記のとおり研修内容をご報告いたします。
1日目「地方自治制度と地方議会」について
講義は静岡県立大学経営情報学部教授の小西敦氏が担当し、地方自治法を読みながらその制度と地方議会について丁寧に確認した。議員定数、議員報酬・費用弁償、常任委員会・特別委員会の設置数などの全国的な平均値を知ることで本市と比較することができた。特に演習のグループワークで議題になった「政務活動費」については、議員と市民の間に隔たりがあるように感じられた。政務活動費は全市区の9割弱、全町村の約2割で交付されており、資料作成、資料購入、調査旅費等に用いられる。本市では会派に所属する議員数に応じて1人あたり月額3万2000円が交付されるわけだが、「議員報酬そのものが高額であり交付は不要」との見方がある。また、全国では目的にそぐわない不正支出があって訴訟問題に発展したこともあることから、世間的に厳しい目が向けられている。同グループの他市議は、勉強会や研修会に積極的に参加し、市政にそれを還元するために政務活動費の増額を求めており、使途を明瞭化したり、情報発信をしたりすることで市民のその必要性を訴えたいと説いていた。その一方で、「政務活動費をもらっていない=市民感情に寄り添っている」ことを売りにする議員がいるとの話もあり、議員間で見解の相違が見られた。
2日目「議員と議会」について
講師は全国市議会議長会企画事務部法制主幹の本橋謙治氏が担当した。本橋氏は全国の議会から寄せられる多様かつ複雑な相談案件に対して助言する立場にあることから、内容には具体性があり、質疑応答は非常に軽快かつ明瞭で歯切れがあった。特に、分割付託のあり方については本市の課題でもあるため大いに参考になった。本市では、議案や予算を各常任委員会に分割付託している。しかし、分割付託は「議案一体の原則」に反し、議決できないまま閉会するリスクがあるため、基本的には採用不可という見解だった。この件については以前から議論されており検討事項ではあるが、「富士市の当たり前」が全国的に見れば例外であることに気付かされた。また、グループワークにおいては多岐にわたる意見交換がなされ、各自治体によって議会の運営方法や慣習が全く異なることがわかった。
3日目「議会の活性化と議員の役割」について
講師は大正大学社会共生学部公共政策学科の江藤俊昭氏が担当した。双方向性の高いやり取りを大切にしてくださり、興味関心を抱ける講義だった。議員にとって重要な役割は、①議決、②議員間討論、③住民を巻き込むことの3つであると説いていた。地方自治法第89条においては「普通地方公共団体に、その議事機関として、当該普通地方公共団体の住民が選挙した議員をもつて組織される議会を置く」と明記されており、「議決機関」ではなくあえて「議事機関」としていることからも、「評決の前にしっかり議論する」ことが最も大切であることが理解できた。紹介があった犬山市議会の「市民フリースピーチ」の中で述べられていた「民主主義は市民の希望と参画で始まる」との言葉は非常に印象深く、議員として活動する上での根幹としたい考え方を学ぶことができた。
1年目議員と言えど20代から70代までおり、バックグラウンドもバラバラでしたが、だからこその化学反応もあり面白かったです。また、自治体によって議会の運営方法や慣習などがまったく異なり、多くの気付きがありました。「2泊3日では物足りない!」と思えるほどにあっという間で、同じ志を持つ方々とご縁ができたことは、今後の活動にも生きる大きな財産となりました。
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