ひとりごと

「つながり」という処方

 「福永意人氏は選挙の刷新を訴えて奔走する」

 選挙の終盤情勢を伝えたある新聞記事の文面です。「組織固め」「地元固め」「地域の集票に注力」などの文字が躍る中、まったく異なる土俵で文字通り「奔走」していたので異論はありません。選挙活動中の私の軌跡(詳細)は以下のとおりです。(※丸数字は活動日数順)

①17.4㎞ ②5.7㎞ ③19.3㎞ ④20.5㎞ ⑤21.6㎞ ⑥20.0㎞ ⑦21.4㎞

 運動する習慣がなかったわけではありませんが、ここまでの長さを連続して歩いたことはありませんでした。2日目は左股関節痛に襲われ、あまりの激痛で歩けなくなりましたが、翌日には脅威の回復力を見せ、終盤まで駆け抜けました。しかし、今も後遺症で左股関節には鈍い痛みが残っています(笑)

 さて、本題に移ります。今回選挙に出たことで一番感じたことは「つながり」です。当選後にはご近所の方、友人、知人、教え子、保護者から本当にたくさんのお祝いの言葉を頂戴しました。もう10年以上も会っていない人たちからも連絡が来て驚くと同時に、懐かしく、嬉しく感じました。私とかかわりを持ち続けようとしてくれる人たち、陰ながらご支援してくださった人たちの多さには感激しました。先日、選挙期間中にお話しをした方と偶然にも再会しました。「本当によかったね。おめでとう。ずっと応援していたのよ。あのとき私たちも一緒に歩いてあげればよかったって話をしていたの」と仰っていました。ポスター掲示板の前で井戸端会議をしていた高齢者のうちのお一人です。初対面だったにもかかわらず、お知り合いに声をかけてくださったり、演説に適した場所を教えてくださったり、本当に優しくしていただき胸が熱くなりました。「つながり」にわずらわしさを感じるときもありますが、生きるための活力であり、生きづらくなったときの生命線でもあります。

 「無縁社会」という言葉が世に出たのが2010年。単身世帯、特に65歳以上の一人暮らしはこの30年で4倍以上に膨れ上がり、今後も増加の一途をたどっていきます。それにともない、孤独死や自殺も増えることが考えられます。また、「人々のつながりに関する基礎調査」(R5内閣官房孤独・孤立対策担当室)では、アンケート調査に回答(有効回答数11,219件)したおよそ半数の人たちが「孤独」を感じているとの結果が報告されています。そして、年齢別の孤独感が高いのは20~50代なのだそうです。

 すでに多くの研究で「つながり」は幸福度を高め、健康増進や生きがいに結びつくことがわかっています。また、人的ネットワークの広がりは居場所を増やし、いざというときの相談先に多様な選択肢をもたらします。しかし、そう簡単に人や地域とつながれないのもまた事実です。当人の性格的なことは除いて、たとえば情報に接する機会が少ない、交通手段が限られているがゆえに行動範囲が限られているなど、複合的な問題が生じています。すぐに解決できるわけではありませんが、「つながりを望む人」を人と地域につなげる橋渡し役になれればと思っています。

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