ひとりごと

「仕方ない」を乗り越えて

「仕方ない」:(意)やむをえない、どうしようもない、なすすべがない

 「仕方ない」という言葉は日常用語ですよね。もちろん、私もこれまでよく使ってきました。人間関係や仕事など、場面はさまざまです。この「仕方ない」が海外で取り上げられ、「日本人の美徳」とされたことが何度もあります。たとえば、近年では東日本大震災やコロナ禍など、理不尽な困難やまさしくどうしようもない悲劇に直面したとき、その苦しい状況を受け入れながら、希望を見出そうとする心情・姿勢を表した言葉だと解釈されたそうです。これは「レジリエンス(resilience)」、すなわち、あらゆる状況に対する適応力、回復力、弾性(しなやかさ)でもあり、ストレス社会を生きるうえで必要不可欠な精神的要素だと言えます。

 しかし、こんな声もあります。

「日本人はなんでも『仕方ない』で済ませてしまうよね」

 この言葉にハッとさせられました。たしかに、どこか口癖のようになってしまっており、少し時間をかければ解決の糸口が見出せたかもしれないのに「仕方ない」と切り上げ、可能性を狭めてしまったことがあるように思います。

 現在、日本の年金受給年齢は原則として65歳です。以前は60歳(※現在も繰り上げ受給可能)でしたが、段階的に引き上げられてきました。その背景には、高齢者雇用の促進、現役世代の負担軽減、年金財政の健全化などがあり、特に大きな反対なく今日に至っています。一方、フランスでは、年金の受給年齢を62歳から64歳に引き上げる政府の年金制度改革をめぐって大規模な反対運動が起こり、暴徒化したデモ隊と警察部隊の衝突が各地で生じています。フランス国民から言わせれば、「政府の強行的手段は民主主義に対する暴力」であり「民主主義を取り戻すため」に行動するのだそうです。

 日本とフランスは政治的な歴史や文化が異なり、二つの話題を並列にして取り上げるべきではないかもしれません。また、どんなことであっても手段としての暴力は許されません。ただ、少なくともフランス国民の政治意識は高く、簡単に「仕方ない」では済ませない習慣があるように感じました。

 さて、日本語が英語になった言葉があります。たとえば「過労死」はその代表的な事例であり、英語でも「karoshi」で通じてしまいます。もしかしたらそのうちネガティブな意味合いで「shikata nai 」という言葉も英語化してしまうかもしれません。「仕方ない」を習慣化せずに「何かできることはないか」と知恵を絞れる人間でありたいです。

※写真はラオスボランティアツアーでの一コマ。ちなみにラオスでは「ボーペンニャン(大丈夫、問題ない)」が多用されています

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